2017年度専門医試験講評ならびに受験資格要件改訂について


平成30年2月8日



2017年度専門医試験講評ならびに受験資格要件改訂について




2017年の日本頭痛学会専門医試験を8月5日に、都市センターホテルで実施した。受験者22名(1名欠席)、合格者19名、合格率86.3%であった。 今回より受験資格である日本頭痛学会教育施設での研修歴の規定が厳格化されたことにより、受験資格を満たす会員が少なく、2016年よりも受験者が減少したと思われる。

問題は例年どおり、200問が出題された。受験者の最高得点159点(正解率79.5%)、最低113点(56.5%)、平均正解率 68.3%であった。 専門医委員会では、各問題の正答率、判別指数などを参考に妥当性を確認している。今回は難易度が高い問題がやや多く、最高得点が例年より低かったが、平均点は例年どおりであった。 出題は、頭痛に関連する解剖、生理、生化学、薬理など基礎的な知識に関する出題、一次性頭痛の臨床的知識や経験を問うもの、二次性頭痛の診断や対処法に関するものなどが出題された。

各受験者には今回から3症例の経験症例要約(サマリー)を提出していただいている。 2016年までは10例を課していたが、研修歴の要件の変更に伴い、3例に変更された。症例要約はそれぞれ2名の委員が査読している。 今回は、2名の受験者の症例要約で、委員による一次審査の評価が低いものがあったが、総合判定で可とした。 記載が不十分な場合、頭痛診断や治療内容、症例の考察が不適切である場合は、症例要約のみで不合格となることもあるので注意していただきたい。

頭痛学会教育施設での研修歴については、地域により教育施設が少ない地域もあることから、Headache Master School Japan(HMSJ)の受講と総会時の教育セミナー受講により代替する暫定措置を実施している。 HMSJは専門医の少ない地域や、全国からのアクセスの利便性などを考慮して開催地が決定されている。2018年は札幌と富山で開催される予定である。 詳細はホームページで確認いただきたい。 受験資格のうちの学術業績について、これまで学会発表ならびに論文発表の双方を必須としていたが、2018年からは学会発表または論文発表のいずれかで可とすることが承認された。

問題集も刊行されているので、多くの会員が専門医を目指して研鑽されることを期待している。

日本頭痛学会
専門医委員会 委員長 竹島多賀夫
副委員長 清水利彦
専門医試験小委員会 委員長 古和久典
副委員長 柴田 護