第12回専門医試験講評 (2019年)


2019年11月4日



第12回専門医試験講評 (2019年)




第12回日本頭痛学会専門医試験を2019年8月3日に、都市センターホテルで実施した。受験者35名、合格者30名、合格率85.7%であった。
問題は例年どおり、200問が出題された。受験者の最高得点164点(正解率82%)、最低96点(48%)、平均正解率 63.3%であった。 平均点、標準偏差はほぼ例年どおりであった。

出題は、これまで同様、頭痛に関連する解剖、生理、生化学、薬理など基礎的な知識に関する出題、一次性頭痛の臨床的知識や経験を問うもの、二次性頭痛の診断や対処法に関するものなどが出題された。  受験者は総じてよく勉強しておられ、過去に類似の問題が出題されている問題は正解率が高かった。画像問題も成績がよかった。正解率が低い問題としては、新傾向の問題、up-to-dateな知識を問う出題、頻度などの細かい数字を問う問題があった。また、基礎医学的な事項に関する問題も正解率が低いものが少なくなかった。実地臨床についても、日常処方している薬剤について最大投与量や禁忌事項などについて正確な知識を要する問題では正解率が低いものが見られた。
 プール問題からの出題も行っているが、正解率が低いものもあり、Headache Master School Japan(HMSJ)や総会のセミナー等での教育プログラムで取り上げるべきトピックスとして留意する必要があると考えている。診療ガイドライン2013,ICHD-3,過去問集,教科書による知識の整理に加え,処方等に関する確実な正しい知識,病態や治療に関するupdateな知識も必要である。

各受験者には3症例の経験症例要約(サマリー)を提出していただき、2名の委員が査読している。 全体として症例要約の記載は充実してきており、高評価の受験者が増えているが、依然として不十分なものあったので、受験者の努力と指導医によるさらなる指導を期待したい。 今回は症例要約のみでの不合格者はなかったが、症例報告のみで不合格になることもあるので留意いただきたい。

頭痛学会教育施設での研修歴については、教育施設が少ない地域もあることから、HMSJの受講と総会時の教育セミナー受講により代替する暫定措置を実施している。 HMSJは専門医の少ない地域や、全国からのアクセスの利便性などを考慮して開催地が決定されている。詳細は学会ホームページで確認いただきたい。
多くの会員が専門医を目指して研鑽され、すべての頭痛患者が全国どこでも最適な頭痛医療にアクセスできる日が来ることを期待している。
なお、2020年の頭痛専門医試験はオリンピック開催期間中に実施することになるので、大阪での実施を予定している。詳細は決まり次第公告する。

日本頭痛学会
専門医委員会 委員長 竹島多賀夫
副委員長 清水利彦
専門医試験小委員会 委員長 古和久典
副委員長 柴田 護