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緊張型頭痛の 急性期(頭痛時,頓服)治療にはどのような種類があり,どの程度有効か. 
またどのように使い分けるか

 

推奨
緊張型頭痛の 急性期(頓挫)療法 には薬物療法と非薬物療法がある.治療法の種類やその内容を十分に知った上で治療する必要がある.有効性に関しては治療法により異なるが, RCT において十分に有効性が証明されている治療法は,鎮痛薬, NSAID s である.また病型や病態に則した治療薬の選択が望まれるが,治療薬の使い分けに関するエビデンスは少ない.頭痛発作時には急性期療法を使用し,慢性型緊張型頭痛には予防療法を併用することが望ましい
推奨のグレード
  B

 

背景・目的

従来から緊張型頭痛の急性期療法として ,種々の 薬物療法と非薬物療法が臨床の場では用いられているが,それらの有効性については必ずしも十分なエビデンスがあるとは言えない.緊張型頭痛の急性期治療法を列挙し ,エビデンスに基づいた有効性を示す. しかし,その使い分けについては明確に示されていない.エビデンスに基づいた治療薬の使い分けを提示する.


解説・エビデンス

 緊張型頭痛の急性期治療には薬物療法と非薬物療法があり,以下に詳細を示す.

薬物療法
1.鎮痛薬および NSAIDs ・カフェイン・抗うつ薬
 1 )鎮痛薬および NSAIDs (多数あるが、例えばアスピリン 500 〜 1000mg ,アセトアミノフェ500mg ,イブプロフェン 200mg 頓用など)
 2 )カフェイン( 100 〜 300mg 頓用)
 3 )抗うつ薬(例 アミトリプチリン 10 〜 25mg )

2.抗不安薬・筋弛緩薬 
 1) 抗不安薬(例 ジアゼパム  2 〜 5mg 、エチゾラム 0.5 〜 1mg )
 2) 筋弛緩薬
    A .チザニジン(テルネリン R ) 3 〜 6mg/ 日
    B .エペリゾン: eperisone (ミオナール R ) 150mg/ 日
    C .ダントロレン: dantrolene (ダントリウム R ) 25 〜 150mg/ 日

3.スマトリプタン
4.ボツリヌス毒素
5. L-N(G)- 塩酸メチルアルギニン( L-NMMA )静脈注射療法
6. L-5- ハイドロキシトリプトファン: hydroxytryptophan (5-HTP)


非薬物療法
治療の中心となる薬物治療について述べれば, 保険適応制限を別にして NSAID の使用が最も勧められる 1-6 ) .しかし,胃腸障害,造血器障害などの副作用があるため,本邦における薬剤の至適用量は欧米と比較して少ない.また, NSAID の慢性的使用による更なる頭痛誘発が問題となる.さらに,カフェインの併用はエビデンスがあるものと結論されるが,消化器系副作用が考慮されるべきである. カフェイン・抗うつ薬については有用との数多くの報告があるが,そもそも緊張型頭痛を病型別に分類しないで検討している点に留意すべきであり,急性期治療としての有用性については疑問が残る. また , 頭痛体操やバイオフィードバックについては,エビデンスの有無にかかわらず考慮されるべきものであろう. L-N(G)- 塩酸メチルアルギニン( L-NMMA ), L-5- ハイドロキシトリプトファンは 現在使用できず, ボツリヌス毒素 7) は 保険適応制限がある.
一方, 緊張型頭痛の 治療薬の使い分けに関するエビデンスは乏しい.しかし , 緊張型頭痛であっても,頻繁に罹患することにより,時として高価な薬剤や予防治療薬が必要となることがある.さらに慢性型頭痛は生活の質( QOL )を大きく低下させ,高度の障害を惹き起こす深刻な疾患であり,治療が必要となることは個人的,社会的見地からも当然のこととなり,経済的費用負担を伴う.慢性緊張型頭痛においては中枢性疼痛メカニズムがより重要な役割を果たしている 9) のに対し,稀発反復性緊張型頭痛,頻発反復性緊張型頭痛については末梢性疼痛メカニズムが役割を果たしている可能性が最も高い 10) .従って,このような患者群に対しては予防療法が有用であり,その使い分けが必要である.
82 人の緊張型頭痛を対象にしたオープンラベル試験で, amitriptyline は慢性緊張型頭痛には有効であるが,発作性緊張型頭痛には有効でないことが示されている 11) .この検討からもわかるとおり,一般的には慢性緊張型頭痛以外には予防療法は必要ないであろう.しかし,頻発反復性緊張型頭痛では,鎮痛剤の乱用や日常生活に対する支障度を考慮にすると,予防薬の適応がある場合がある.

参考文献のリスト

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  headache (an evidence-based review): report of the Quality Standards
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2) 慢性頭痛治療ガイドライン作成小委員会,坂井文彦,荒木信夫,五十嵐久佳,
  濱田潤一,作田学,平田幸一,鈴木則宏,竹島多賀夫,山根清美,若田宣雄,
  岩田誠,中島健二.日本神経学会治療ガイドライン 慢性頭痛治療ガイドライン
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3) Nebe J. Heier M. Diener HC. Low-dose ibuprofen in self-medication of mild to
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7) Rollnik JD. Tanneberger O. Schubert M. Schneider U. Dengler R. Treatment of
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  controlled study. Headache 2000;40(4):300-305.
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  treatment of episodic tension-type headache: a randomized, placebo controlled,
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9) Ashina M, Bendtsen L, Jensen R, Lassen LH, Sakai F, Olesen J. Possible
  mechanisms of action of nitric oxide synthase inhibitors in chronic tension-type
  headache. Brain 1999;122( Pt 9):1629-1635.
10) Headache Classification Committee of the International headache Society: The
  international classification of headache disorders, 2nd edition. Cephalalgia 2004;
  24 (Suppl 1):1-150 .
11) Cerbo R, Barbanti P, Fabbrini G, Pascali MP, Catarci T. Amitriptyline is
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  implications. Headache 1998;38(6):453-457.


検索式・参考にした
二次資料

PubMed 検索: 2004/8/25
tension  headache & treatment 646
tension (type) headache & treatment 578