「日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト
—The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)—」の
開始と参加のお願い


 

「日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト
—The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)—」の
開始と参加のお願い

                               
 国際頭痛分類が発表され,片頭痛治療薬・トリプタン製剤の開発により,頭痛の研究,臨床は格段に進歩しました.しかし,小児の頭痛に関しては、未解決の問題が多数あり,いまだ未開拓の分野もあります.小児の頭痛について研究,臨床応用するための取り組みは各国で行われていますが,世界規模で取り組むために The World Children and Adolescent Headache Project (WOCAH) という活動が始まっております.その主催者である,ローマ大学サピエンツァ校 Vincenzo Guidetti 教授より,この活動に参加する日本チームを作って活動に参加してほしいとの要請がありました.
 本邦では小児頭痛診療を行う医師は限られており,個々に小児の頭痛診療の普及発展について尽力して参りましたが,遅々として進まない現状に危惧を抱き,小児頭痛について研究,臨床応用のための情報交換会設立を望む声がありました.
 「つらい頭痛に苦しむ子どもたちの苦痛を少しでも取り除きたい」それは全世界共通の頭痛診療医の願いです.そこで小児頭痛について興味をもって診療をしている頭痛学会のメンバー数名で協議を進め,「日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)(仮称)」を立ち上げることと致しました.
 小児・思春期を通して,頭痛診療医を受診する患児の多くが片頭痛であることは共通です.しかし,基礎疾患,発達障害や性格傾向などの素因,子どもを取り巻く家庭環境,学校環境の影響,小児期特有の発育,発達の過程で生じる諸問題は,子どもの頭痛に心身・精神的に多大な影響を及ぼします.これら共存症を見極めて十分に対応した後にようやく本来の片頭痛の形となって片頭痛治療が奏功するという,複数の頭痛の共存例が半数近くに達します.このため,子どもの頭痛は複雑で,難解で,治療が難しく,保護者が慢性頭痛に罹患している場合であっても,わが子の頭痛については「心因性」だと考えられる方も多いです.また,最初に子どもの頭痛の相談を受ける診療医や校医がそのように誤認していることも多く,小児頭痛診療の啓発活動の妨げとなり,治療できる頭痛を放置している現状があります.一方で,頭痛初期から慢性連日性に経過してあらゆる治療にも抵抗性を示す難治の頭痛も多く,小児頭痛の診療経験を積めば積むほどに「何か見落としがあるはず」「見えていないだけで,何か解決の糸口があるはず」との思いにさいなまれます.
 今回,診療科を問わず小児・思春期の頭痛診療に取り組んでおられる先生方,小児の頭痛に興味を持っておられる日本頭痛学会員の先生方に御参加いただき,JACAHとして国際的な活動(WOCAH)に参加するとともに、国内でもJACAHを通して意見交換を行いたいと存じます.多くの先生方の御参加をお願い申し上げます.
平成23年10月4日

 

日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト
設立メンバー 

代表     
安島英裕  神戸市立医療センター西市民病院 小児科
竹島多賀夫 富永病院 神経内科・頭痛センター

運営委員
荒木清   東京都済生会中央病院 小児科
安藤直樹  名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野  
桑原健太郎 日本医科大学付属病院 小児科
疋田敏之  ひきた小児科クリニック  
藤田光江  筑波学園病院小児科, 東京クリニック小児・思春期頭痛外来

顧問             
坂井 文彦 日本頭痛学会理事長