第9回頭痛専門医試験講評


平成28年11月24日

日本頭痛学会 会員 各位



第9回頭痛専門医試験講評




第9回日本頭痛学会専門医試験を2016年8月6日(土)に東京で実施した。例年どおり200問を3時限にわけて実施した。受験者63名、合格者51名、合格率80.9%であった。平均点は68.5点、標準偏差 7.7点、最低点50.0点、最高得点は85.0点であった。

試験問題は本年も約30名の専門医委員会委員が分担して作問し、提出された問題を専門医委員会委員長、副委員長、専門医試験小委員会の委員長、副委員長で200問に厳選し、そのレベルと妥当性とを評価・確認し、さらにbrush-upしている。 出題は、例年どおり頭痛に関連する解剖、生理、生化学、薬理など基礎的な知識を問うもの、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経自律神経性頭痛などの一次性頭痛の臨床的知識や経験を問う問題がラインナップされている。 二次性頭痛の知識も頭痛専門医として必須のものが出題されている。 慢性頭痛の診療ガイドライン2013、国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3β)からの出題が多いが、up-to dateな問題も出題されているので、頭痛学会誌や頭痛の特集を組んでいる医学雑誌、頭痛学会総会、 Headache Master School Japan(HMSJ)などで最新の情報も得ておくとよいと思われる。 2015年11月に頭痛専門医試験 問題・解説集を刊行した。合格者は既出問題の学習は十分にされているようであった。 

各受験者には10症例の経験症例要約(サマリー)を提出していただいており、疾患の種類については特に細かな制限や基準を設けていないが必ず一次性頭痛の症例を含めるように求めている。 各受験者の症例要約は専門医委員2名が査読しており、評価が悪いと症例要約のみで不合格となることもある。 今回は2名の受験者の症例要約が合格点に達していなかった。

2017年実施予定の第10回試験より、受験資格要件である教育施設、准教育施設、教育関連施設における3年間の研修歴が厳格に求められる。 このため、第10回試験からは症例要約は3例とするが、各症例の記述はこれまでより詳細な記載を求めることになっている。 書式も若干の変更がなされる予定である。 詳細はホームページで確認いただきたい。

症例要約の指導者署名欄には、頭痛学会専門医の署名が必要である。 施設内に頭痛専門医が不在の場合,地域や関連施設の頭痛専門医資格を有する指導医や代議員にレポートの確認とアドバイスを受けることが望ましい。 また、症例要約の準備には相当の時間がかかるので、受験者は早めに準備するよう勧めたい。

前述のとおり第10回試験より、3年間の教育施設等における研修歴が必須となる。 ただし、少なくとも5年間はHMSJの受講とPost Examの合格、頭痛学会総会の教育セミナー受講により必須の研修歴に振り替える措置を行うことが決定されている。 HMSJは毎年、少なくとも1回、可能であれば年に2回開催するよう関係委員会で調整を進めている。

わが国の頭痛医療のレベルが向上し、すべての頭痛患者が頭痛医療の進展の恩恵が受けられるよう、より多くの頭痛専門医が各地で活躍いただくことを期待している。

日本頭痛学会
専門医委員会 委員長  竹島多賀夫
副委員長 清水利彦

専門医試験小委員会 委員長 古和久典
副委員長 柴田 護