日本頭痛学会ニュースレター8号 2012年1月

  1. 獨協医科大学 神経内科 平田幸一先生より会員の皆様へ
  2. 第39回頭痛学会総会のポストコングレス講演会報告
  3. ARCH2011 (The 3rd Asian Regional Congress of Headache)プログラムのご案内
  4. 日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト(仮称)について(再送)
    ―The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)―
  5. 慢性頭痛の診療ガイドライン改訂作業のお知らせとご意見の募集(再送)
  6. 頭痛研究のトピックス更新情報

【1】獨協医科大学 神経内科 平田幸一先生より会員の皆様へ

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獨協医科大学 神経内科 教授
(一般社団法人日本頭痛学会理事)
平田 幸一 先生

新年あけましておめでとうございます.
皆様のご努力のお陰で,日本頭痛学会も2013年,2000人以上の学会員を有する規模の,多くの方がその存在を知る学会となったこと,心より嬉しく感じております.
さて,ここからがある意味でわれわれの正念場と思っております.小生は教育関連委員会という組織に関係させていただいておりますが,頭痛はもっともポピュラーな疾患でありながら,2次性の頭痛の除外診断はもちろんのこと,片頭痛,緊張型頭痛は,患者の年齢,性別により変化してゆき,それのみならず,患者がおかれた環境によりその形態を変えてゆく診断すらままならないこともあり,ましてや治療となると時に非常に困難な疾患であることは会員の皆様よくご存じのことと思います.癌,心疾患や脳卒中の克服という話がしばしば社会的な課題としてあげられますが,実はWHOも頭痛,特に片頭痛がQOLに大きなインパクトを与える重篤な疾患であることを指摘していることはよく知られたことであり,その頭痛医療の重要性を啓発すること,医学生,レジデント,医師,そして社会人に対する教育の場を与えることは日本頭痛学会にとっても重要なことと思われます.
坂井理事長も以前のNewsletter述べられていましたが,米国頭痛学会は頭痛の教育,社会啓発のインフラが日本と比較にならないほど整備されています.医学部での頭痛教育カリキュラム,病院での頭痛研修制度,頭痛協会の市民との活動など,わが国との現状と比較することができないほどの充実ぶりです.
具体的には米国頭痛学会主催の”Scottsdale Headache Symposium”における頭痛教育,e-learningやWeb,Facebook, twitterあるいはmovieの作成による教育の方法を学び,ひとつひとつ追いついてゆくことが必要ですが,その起爆薬というべきイベントとして2013 年春,東京によりHeadache Master School の開催が予定されているところであります.もちろんその前の年にあたる2012年度はこの準備のほか,地道な頭痛教育の浸透に,教育関連委員,広報委員を中心とした多くの方々の協力が必要なことはいうまでもありません.頭痛学会員先生方のご協力を、今年もどうぞよろしくお願い申しあげます.

【2】第39回頭痛学会総会のポストコングレス講演会報告

大会のポストコングレスではPurdy先生による頭痛教育をテーマにしたご講演がありました。日常から頭痛診療向上に患者教育、若手医師の教育にご関心のある先生方にとって大変意義のあるご講演になりました。講演に参加されなかった頭痛学会の先生方にも講演スライドの公開をさせて頂きます。今後の頭痛教育のご参考になればと思います。
http://www.jhsnet.net/pdf/20111125_evening.pdf
(閲覧は自由に可能ですが、転載使用は著作権の問題でお控えください。)

【3】ARCH2011 (The 3rd Asian Regional Congress of Headache)プログラムのご案内

慶應義塾大学神経内科 柴田 護先生よりニュースレター7号(前号)で報告いただきましたARCH2011のプログラム、写真等の詳細が頭痛学会ホームページに掲載致しました。ぜひご確認ください。
http://www.jhsnet.net/pdf/Beijing_ARCH_Program.pdf

【4】日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト(仮称)について(再送)
   ―The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)―

―The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)―
過日,小児頭痛診療に興味を持つ会員有志より,「日本小児・思春期頭痛研究プロジェクト―The Japanese Children and Adolescents Headache Project (JACAH)―」(仮称)設立の提案があり,理事会にて稟議した結果,日本頭痛学会のタスクフォースとして承認されました。その目的は以下の2点に集約されます。
①The World Children and Adolescent Headache Project (WOCAH) に参加すること
②日本国内における小児頭痛診療について討議し,普及,発展させること
趣意に御賛同、御協力、御参加の意思のある先生方は、担当 安島英裕先生まで Eメールで、ご連絡ください。
( 詳細につきましては、頭痛学会ホームページをご参照ください。 http://www.jhsnet.net/topics.html )

【5】慢性頭痛の診療ガイドライン改訂作業のお知らせとご意見の募集(再送)

第39回頭痛学会でも「新たな慢性頭痛診療ガイドラインへ向けて」のシンポジウムで進捗状況をお伝え致しましたように、頭痛研究の進展と、診療環境の変化に対応するために、診療ガイドラインの改訂を行うこととなりました。新たなクリニカルクエスチョンの追加修正、推奨レベルの再検討などの作業をガイドライン委員会にてすでに着手しています。引き続きガイドラインの改訂に際して、会員の皆様からのご要望、コメントを募集しております。
ご意見やご要望は、メール(info@jhsnet.net)又はFAX(048-840-2701)にて、学会事務局あてにお寄せください。

【6】頭痛研究のトピックス更新情報

三叉神経一次ニューロンから三叉神経頸髄複合体への神経伝達の有効な抑制にはドパミンとセロトニン両者の機能が重要
Charbit AR, et al. Trigeminocervical complex responses after lesioning dopaminergic A11 nucleus are modified by dopamine and serotonin mechanisms. Pain 2011;152:2365-2376.
掲載日:2011/12/01

硬膜感受性視床ニューロンの大脳皮質への投射
Noseda R, et al. Cortical projections of functionally identified thalamic trigeminovascular neurons: Implications for migraine headache and its associated symptoms. J Neurosci 2011;31:14204-14217.
掲載日:2011/12/01(http://www.jhsnet.net/zutu_topics.html

編集後記

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

ニュースレターに関するご意見、お問い合わせは、<info@jhsnet.net>までお願い致します。